2012年4月3日火曜日

闘病記


闘病記
これは「闘病」というほど大袈裟なものでは無いかもしれません。相手が「糖尿病」ですから、「自業自得」 のような部分もあります。しかしこの病気は、全身に障害を及ぼす「恐怖の病」なのです。単に「尿」に「糖分」 が混じるという簡単なものではなく、高い血糖が「血管」を傷つけて、「血管」のある所が全て異常をきたすのです。

ひどくなると「失明」「腎不全」「脳梗塞」等に発展し、直接ではないけれど間接的には死に至る病なのです。 いかにして「血糖値」を標準に近づけるかが、完治しないにしても改善に向かわせるポイントなのです。 「薬」を飲めば治る病気ではありません、重要なのは生活と体質の改善なのです。



不摂生50年

「糖尿病」になった理由はこれにつきます、好きなものを食べ運動しない、こういう生活を五十年続けていました。 私は大食いではないのですが、「食事」の間には「おやつ」「甘いもの」を必ずはさんでいました。今考えると「血糖」 の高い状態が継続し、常に「インスリン」が分泌されて、膵臓が弱っていたという状態だったのでしょう。 実は「高血糖」の状態にあることは、以前から知っていました。しかし自覚症状が無いので放置していました。 それには病院に行くということに対する恐怖心と、医師に対する不信感があったと思います。



糖尿病発覚

「健康診断」は会社で受けていましたが、検査の結果に対する管理は割とユルく、「再検査」の「報告義務」はありませんでした。 新しい仕事に替わった時に「健康診断」があり、その事業所では「再検査」が義務付けられていたため、 やむを得ず「再検査」を病院で受け、「糖尿病」であるとの診断を受けました。そして「入院」を勧められました。 長く放っておいたので、「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」「動脈硬化」という「合併症」も見つかりました。 そして他には「高血圧症」と「高脂血症」があり、まさに「成人病」のデパート状態だったのです。



入院生活

そして人生初の「入院」となりました、考えてみれば私が親から貰った体は、比較的丈夫に出来ていたと思います。 それを自己管理の甘さで悪くしてしまったのです。「入院」といっても「糖尿病」の入院は「検査入院」と「教育入院」です、 他に悪くなった所がないか調べるのと、今後どういう食生活をするかということを実体験するのです。悪いところは他になく、 年齢的にはまだ回復できる、という医師の言葉に励まされて「体質改善」を決意しました。そしてすぐに開始しました。 十日程で退院となりましたが、この時点で既に方針は確立していました。それは今まで怠っていた「運動」による、 「体質改善」です。



食事療法

食事については病院や本で勉強しました。最初は一日に必要なカロリー「基礎代謝量」を把握することからです。 大体2100カロリー位が私の年齢では標準なので、一食なら約700カロリーになります。私には「高血圧」と「腎症」もあったので、食塩も制限されていました。 最初は薄い味付けに苦しみましたが、それは香辛料や酸味で誤魔化せることに気づきました。「病院食」については、 毎回携帯で写真に撮りました。重要なのは入院中の10日間ではなく、退院後の日常生活だからです。 食事の量は最初は物足りなかったのですが、慣れてくると前ほど大量には食べられなくなります。胃が小さくなるのです。


ペパーミントパティでどのように多くのカロリー?


カロリー

「カロリー」というのは結局は「量」だと思います。「蒟蒻」や「葉菜類」ならともかく、「量」を摂れば「高カロリー」 になります。どんな旨いものでも、一口目に感じた「おいしさ」は食べ続けると徐々に薄れていきます。 なのでゆっくり味わって量を減らす、という食べ方をするようにしています。また外食事には必ずカロリーをチェックします、 そして分からないものは避けています。「ジャンクフード」と言われているものでも、それほど高くないものもあります。。 あと思ったより「高カロリー」なのが「パン」や「麺類」などの小麦製品と、イモ類、トウモロコシ、南瓜などです。



常識のウソ

主食にしている国もあるような食材は、やはりカロリーが高いです。「軽く済ます」などというしろものではありません。 私も以前そのつもりで、昼食にパンを二個食べていましたが、これだけで800〜1000カロリーあったのです。 また「油分」の多い少ないでカロリーは大きく変わります。「魚」が「肉」より「低カロリー」とは必ずしもいえないのです。 「ポテトチップ」などの「スナック菓子」も、一袋食べれば「チョコレート」や「キャンディー」よりカロリーがあります。 また「フルーツ」に含まれる「果糖」は「砂糖」とは構造が違うので、甘くても意外に「低カロリー」なのです。



低血糖

「糖尿病患者」には「低血糖」というリスクがあります、食事を減らしているためにカロリーが不足するのです。 そして「めまい」や「動悸」や「悪寒」等の症状が出ます。過度なダイエットでもこうなるようですが、 これには命の危険があります。なので「ブドウ糖」の錠剤を常に持って、飲めるようにしておかなければなりません。 これは考えてみれば馬鹿らしい話です。食べたいのを我慢して「低血糖」になって、まずい「ブドウ糖」 を飲まなければならない。こんなことは必要なカロリー量がちゃんと計算できていれば、解消できることではないでしょうか?



歩数計

私は走りません。走ったら消費カロリーが計算できないからです。正確な「歩数計」を持ってどれだけ動いたかが分かれば、 余分に摂らなければならないカロリ―が分かります。それは一万歩で約250カロリー、「ご飯」一膳、食パン一枚分です。 言い方を変えれば、一時間半歩いてもその程度しか消費していないのです。でもこれを余分に摂らないと「低血糖」 という危険な状態になります。そうなってから「ブドウ糖」を使うより、前もって摂っておく方がいいのではないしょうか? 以前この方法を「栄養士」に聞いてみたら、「ダメです」と言われました。しかしじっとしているより動いた方が、 体のためには良いに決まっています。



運動療法

これには「入院中」から取組みました、私は常に病室にいない患者でした。よく看護師さんが探していたようです。 申し訳ありませんでしたが、これが体のためになるのです。病室が六階にあったので、まず「エレベーター」 を使わないことから始めました。病院には「喫煙所」がなかったので、病院前のバス停でしか「煙草」が吸えなかったのです。 これが大体一日に十回程になりました。そして慣れてきた三、四日後には遠出をするようになりました、 私の携帯電話には歩数計が付いていたので、何歩歩いたのかはすぐに分かりました。ただこの時はまだ脂肪が付いていたので、 病院食だけしか摂りませんでした。


ウェストバージニア州ハーブの生命の減量製品


ウォーキング

この「歩く」ということは、車生活で見失ったものを再発見させてくれます。季節によって咲く花が変わり、 鳥達も変わり、風の違いを感じる。これが「花鳥風月」というものなのでしょうか?これは「わび」「さび」に通じますね。 裏の排水路に「カルガモ」がいて、子供ができて、だんだん大きくなって行く姿を見ることができます。 町の中の街路樹や公園の草花も、日々姿を変えています。同じコースを歩いても、そこは全く同じではないのです。 私がそういうことに関心を持つ年代になった、ということもあるのでしょうが。



キャンディー

私は「ブドウ糖」は持って歩いていません、「低血糖」になったことはありません。その代わりに「キャンディー」 をいつも持っています、「甘いので高カロリーでは」と思われますが、これ一個なら大したカロリーにはなりません。 それに「ブドウ糖」とは違って、いろいろな味を楽しめます。少し危なそうな時や、もう少し歩きたい時にはこれが一番です。 チョコレートも甘みがあり満足感は得られますが、持ち歩きに不便です。ただハマってしまうと、 大量に食べてしまうという危険性はあります。カロリーを取って歩くのは、意味が無いと思われるかもしれませんが、 運動したことは健康な体作りに、確実につながっています。



標準体重

「BMI値」を基準にすると私の標準体重は62Kg位でした、努力の甲斐あって三ヶ月くらいでこの体重に到達しました。 しかしこの時は、大病をした後のようにただ痩せているだけでした。これでいいのだろうか?健康体なのだろうか? 痩せれば痩せるほどいいというものではありません、問題は中身なのです。歩くだけでは持続力はついても筋力はつかない、 「体質改善」はできていないのです。どうしたら筋肉が付くのか?やはりそれには、何らかのトレーニングが必要です。 そして理想的な体を作ろう、病気になる前より健康になろう、自信につながる体を作ろうと強く思いました。



柔軟体操

「一日二回以上、脈拍を110以上に上げる運動を30分以上する」、これが私の主治医の改善指導でした。 一回はウォーキングでいいとして二回目はどうするか?体が硬くなったので「柔軟体操」をしよう、これなら家でもできる。 夕食後に30分以上すればいいと考えました、これならテレビを見ながらでもできます。いろいろ試してみて、 今は「ラジオ体操」、「間接回し」、「スクワット」、「柔軟体操」、「ボクササイズ」、「スクワット」 という順番で行っています。これで大体30分位になります、そして以前より筋力も付いてきています。



登山

最近は「山登り」にハマっています。岐阜には「金華山」と「百々ヶ峰」という山があります、といっても海抜400m位ですが。 両方とも登山道が整備されており、半日くらいで帰ってこれます。実はここは隠れた穴場です、平日でもかなりの人が登っています。 「金華山」は週末大賑わいになります。ある人と話したら「毎日登っている」とのことでした、 そういう方は足取りも軽やかです。私も最初はぶっ倒れそうになりましたが、何回か登るうちに苦にならなくなりました。 やはり積み重ねが大事なようです。これまで「^」や「マムシ」とかが心配で、夏山は避けていたのですが、 登山者が多いと道には出てこないようです。


そこに甘いお菓子は何ですか?


糖尿病の経過

退院してから約一年半になります。今は入院していた大病院から近所の医院に移りました、「インスリン」の注射は夜のみで、 食事前には薬を飲んでいます。体重は計画通りに60Kgをキープしています、また「糖」が「尿」に出るのことは、 退院三ヶ月目以降ありません。この状態を「糖尿病」と呼ぶのは、文法的にはおかしいと思います。「血糖値」がやや高く、 130くらいで推移していますが、体調は何ともありません。今思えば入院前の体調こそ異常だったと思います、 疲れやすく、喉がよく乾いて、よく眠くなりました。ずっとそうだったので異常とは自覚せず、老化だと思っていました。



ヘモグロビンa1c

「ヘモグロビン・エー・ワン・シー」と読みます、いつも健康診断で検査されるけど、何だか分からない「検査項目」です。 過去三カ月の「血糖」の状態がこれで分かるそうです。なので「糖尿病」の医師は必ずこれをチェックします。 「血糖値」というのは食事の時間によって変動しますが、この「a1c」はすぐには変わりませんので、「糖尿病」の「指標」 として重要なのです。入院時には12近くあったのですが、私は半年で6以下になりました。ちなみに標準は5.5以下です。 どうもこの数値は冬になると上昇するようです、同じように冬に上昇する血圧と関係があるのかもしれません。



病気が教えてくれた

この一年半を振り返ると、必ずしも悪いことばかりではなかったと思います。もし病気が判明していなかったら、 今頃「失明」、「人工透析」、「足の切断」考えるとぞっとします。また仮に病気でなかったとしたらどうでしょう? 今まで通りの生活を続けていたら、どんな老後が待っていたでしょうか?筋力が落ちて杖なしでは歩けなくなる、 車を多用することによって季節の移り変わりにも気付かない、なにもせず引き籠ったような人生。これもまた嫌なことです。 「糖尿病」に罹らなくても、「血管障害」や「内臓疾患」などの他の病気になっていたと思います。 病気が今後の生き方を考える機会をくれたのです。



一病息災

私の体は「糖尿病」とその「合併症」以外に、悪いところは無いようです。「糖尿病」をうまくコントロールできれば、 それ以外に問題は無いのです。母がよく言っていた「一病息災」という言葉、病気があるからこそ体を気遣うことができるのです。 月一回の通院も健康管理には有効です。この「糖尿病」という病気と付き合うことによって健康な人生が送れるならば、 悲観することもないと思います。食べ過ぎないことや、適度な運動をすることは、「糖尿病」でなくても重要なことです。 今後の人生をどう過ごすのか?このことは私の今の生き方に掛かっていると思います。



私は若い時からこの「薬」というものに疑いを持っていました。なので症状が重い時にしか医者に掛かりませんでした、 「糖尿病」の発見が遅れたのもそれが原因です。医者がやたらと「薬」を処方することが、私は気に入らなかったのです。 「糖尿病」や「高血圧」の薬は、必ず飲み続けなさいといわれています。しかし本当にそうなのでしょうか? 「薬」の中には本来人間が持っていない物質も多い筈です。一つの臓器に効果的に働いても、 別の臓器には害になるという副作用がある筈です、「薬」は使わないに越したことはないのではないでしょうか? そんな「薬」を長期に使用することの安全性は、本当に検証されたものなのでしょうか?


私のように危険な症状がない場合に、何故医者から「止めてみましょうか?」と聞かれないのでしょうか? そこに「医者」と「薬局」と「製薬メーカー」の打算がある、と思うのは勘ぐり過ぎでしょうか? 私は現在でも月に一万円(保険適用で3000円強)程の薬を処方されています、これを全糖尿病患者の数で考えれば、 天文学的な数字になります。また医薬分業になって随分経ちますが、手間が増えただけとしか思えません。 そう思っている時にいい本を見つけました、「糖尿病は薬なしで治せる」(渡邊昌、角川oneテーマ21)という新書です。



糖尿病は薬なしで治せる

筆者は「医師」というより「大学教授」です、そして「糖尿病」は専門外です。自身が「糖尿病」になってしまい、 それを克服した体験談がまとめられています。その「タイトル」の通り副作用のある「薬」は使用していません、 使ったのは「食事療法」と「運動療法」のみです、それで300以上あった「血糖値」と12を超えていたHba1cを克服しています。 そしてフルマラソンやトライアスロンができる体を作ったのです。この本には「糖尿病」を体験していない「専門医」 の言葉よりも説得力がありました。哲学者「梅原猛」のように、専門外だからこそ見えてくるものがあるようです。



服のサイズ

私はの体重は最大で95Kgありましたが、大体85Kgくらいで推移していました。こうなると服を買ってもイメージとは違います、 私が着るとどこか変だったのです。60Kgの今では何を着ても大丈夫です。足が短い以外は、体形がマネキンと近いからでしょう。 しかし私が欲しいウエスト73cmというのはサイズが無いのです、店によっては76cmが最低です。 見本である筈のマネキンには、どういうサイズの服が着せてあるのでしょうか?そしてそんな見本が、 ウエスト80cm以上の人達に参考になるのでしょうか?デザイナーはどういう体系の人達を対象に、服を考えているのでしょうか? ここには現実とのズレがあると思います。



メタボリック判定基準

「男性はへそ回りが80cm以上で、中性脂肪、血圧、血糖値のうち二項目が基準以上なら、メタボリック・シンドロームである」 とのことですが、後の三つはともかくとして最初の「へそ回り」、この最初の前提条件はおかしい。先のサイズの話で、 男物のスラックスは80cm以上のウエストの方が多いのです、つまりメタボでない人の方が少ないということです。 また中性脂肪、血圧、血糖値のうち二項目が基準以上なら、それだけで充分危険な状態です。何をもって「へそ回り」 を第一の基準にしたのか?そして「健康診断」の項目に追加されたのか?私の祖父母もメタボでした。そして祖父は96歳、 祖母は97歳で亡くなりました。



脂肪

「三大栄養素」の一つ「脂肪」は、今では目の敵にされています。「皮下脂肪」は一万歩を歩いても35gしか落ちません。 逆説的にいえば、カロリーを蓄える為には「脂肪」というのは非常に効率のいいものなのです。「脂肪」は常に「飢餓」 と戦ってきた動物が、生み出した知恵なのです。これを無くすことに私は不安を感じました、食事も摂れないような 「大病」になった時に危険ではないかと思ったのです、それで代りに筋肉を蓄えようと考えました。 その結果は冬の寒さが身に沁みるようになりました、「脂肪」にはこういう効能もあるようです。




健康論

何か余計なことまで書いてしまいましたが、私は「メタボ基準」や「体脂肪率」のように、ただの「指標」 に過ぎない数字が独り歩きしている現状は、馬鹿げていると思います。それと痩せていることが健康なのでしょうか? 日本は世界有数の長寿国なのですよ、それも戦後に西洋風の食事を多く取り入れてからそうなったのです。 健康食品ばかり食べていた頃は、本当に健康だったのですか?肉食中心の遊牧民やエスキモーは皆短命なのですか? 魚を多く食べている海辺の人達は、皆が健康で頭がいいのですか?



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