Vol.13 1999.12.17発行

●今までにご説明した用語の復習

【ヘッド】

【シャフト】

【全体】

以上については、だいたいどんな事かは、頭に思い浮かぶでしょうか。もし分からない方は、各ホームページで再度ご確認ください。今回は今までご説明していなかった、よく使われる「バランス」についてご説明します。

●バランス（スイングウエート）とは何か

私はこの「バランス」というのが、どうも好きになれません。Ｄ１とかＣ９とか言いますが、数値で表されていないため、いったいこのアルファベットの意味は何で、後ろの数値はいくつまであるのだろうか？Ｄ１とＤ２ってどれくらい違うのだろうか？そういう事がさっぱり分からない、とても感覚的な尺度だからです。しかし、だからこそ一昔前は、数値で割り切れない振った感覚に合っていたのかもしれません。（もちろん今でも大枠では合っていますが・・・。）

年末の忙しいときに、そんな事を言っていてもしかたがないので、説明に入ります。バランスというのは、クラブを振った時に感じる振り易さや、ズシンと手に感じる重みを表す尺度の一つです。たとえば、片手でバットを振ろうとしたときに、グリップ側をを持てば重くてコントロールしにくく感じるのが、先の太い方を持つとかなり軽く感じ、コントロールしやすいと思います。総重量が同じでも、こえだけの違いがあるわけですが、これがバランスの理屈です。要は、手元から重心までの距離で決まるわけです。

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ただ、男性が女性用のクラブを振ると、「何となくヘッドが効いていないから振りにくい。」とか、「コントロールしにくい。」と思うことがあります。逆に女性が男性用の重いクラブを振れば、「重くて振りにくい、コントロールしにくい。」という話にもなり、やはり自分の力にあった、最適のクラブというものがあるのだという事を、改めて思い知らされます。

●バランスの測定法と表示の意味

バランスの決め方は、グリップの端から１２インチのところを支点とし、グリップエンドにおもりをぶら下げて、クラブがつりあった時の重さをオンスで表し、それをスイングウエイトとします。１８.３オンスをＣ０（ゼロ）、２３.２オンスをＥ９とし、３０分割して表したものが、よく使われるバランスです。１ランク上がると、０.１６３オンス＝４.６１グラムずつ増えます。

Ｃ０→Ｃ１→Ｃ２→・・・Ｃ８→Ｃ９→Ｄ０→Ｄ１→Ｄ２→・・・・・Ｅ９

（軽く感じ振りやすい）←←　平均的男性用　→→（重く感じ振りにくい）

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そもそもオンスというのは、馴染みがありませんが、１オンスは２８.３グラムです。ちなみに１６オンスが１ポンドで、確か昔のバターや海外のバター１個は１／２ポンドだったので、８オンス＝２２６.４グラムと言えば、感覚的に理解できるかもしれません。念のため、インチについても補足しておくと１フィート＝１２インチ＝３０.４８センチメートルなので１インチは２５.４ミリという計算になります。従って１２インチ＝３０.４８センチメートルとなります。（知っていると何かと便利ですよ！）

平均的な男性がよく使うＤ０は、２２オンス＝６２２.６グラムですから、グリップエンドから１２インチの所を支点として、グリップエンドに６２２.６グラムのおもりをぶら下でれば、つり合うはずです。

●自分でバランスを上げたい場合

鉛を何グラム貼れば、バランスが１ランク上がるかという質問を受けることがありますが、簡単な算数で計算ができます。たとえば４５インチのクラブの場合、支点からヘッド先端までの長さは、４５－１２＝３３インチです。１ランク上げるには、０.１６３オンス＝４.６１グラムのおもりをグリップエンドに追加してつり合うだけ鉛を、ヘッド先端に貼れば良いわけです。昔習った物理を思い出してください。シーソーやヤジロベイは（支点からの距離）×（重さ）が等しければ、つりあうという事でしたね。

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つまりグリップエンドに追加した１２インチ×４.６１グラム＝５５.３のおもりの分だけ、ヘッドにも相応するおもりを追加すれば良いので、ヘッド先端までの長さが３３インチでしたから、５５.３÷３３＝１.６８グラムの鉛を貼れば、バランスが１ランク上がる計算になります。同様に計算すると、４２インチの場合は１.８４グラム、４８インチの超長尺の場合は１.２グラムという事になります。

重心位置を変更したり、慣性モーメントを変えようと、たくさんの鉛を貼る方がいますが、バランスもこれだけ変わることを、よく考えた方がよいかと思います。

●バランスの功罪

昔は、クラブは長さと重さだけで表現したそうですが、最近のは、長さ、バランス、シャフトの硬さ、ロフトが４大スペックとなっているようです。先日アンケートで「お持ちのクラブのスペックを教えてください。」という質問をしたのですが、この４つ以外のスペックを書いた方はゼロに等しかったです。それだけ、ゴルファーには馴染みの深い指標になったとも言えます。

しかし、なぜグリップエンドから１２インチなのでしょうか。（ご存じの方は教えてください。）そもそもケネス・スミス社が提案し、どこのゴルフショップでも簡単に測定でき、昔の重さだけで表していた時から考えれば、かなりの進歩だったのだと思います。１４インチ法というのもあるそうですが、最近は１２インチしか使われないようです。私の勝手な推測ですが、ヘッドをつけない状態でのクラブの重心位置が、このあたりにあるのではないかと思います。（それなりの根拠はあるのですが、違うかもしれません。）

なぜ、私がバランスが気に入らないかと言うと、もしグリップエンドから１２インチの部分に、１キログラムのおもりをつけたとしても、バランスは変化しないのです。極端な例ではありますが、明らかに振れないようなクラブになるにもかかわらず、指標が変わらないのは、どう考えても「ゴルフは理論！」の精神に反します。

そこで、最近では「クラブの慣性モーメント」が出てきていますが、これは一般には支点をグリップエンドにして計算するので、厳密には上記の様な不具合は起きません。ただ、これもグリップエンドにおもりをつけたらどうなるのかという議論もあり、必ずしも万能ではありません。

グリップの位置を支点とするという、新しいバランス理論を提案している先生もいらっしゃいますが、私もややこれに賛成です。今後、どこかのメーカーが本当に実感値に合った、振りやすさを表す指標を研究し、今のＤＯとかＣ９に変わる表示が、どのメーカーのクラブにも明示されるようになる事を望みます。

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